オトナの社会科見学: 旭酒造株式会社
某 SNS (mixi じゃないよ)で「獺祭(だっさい)」という日本酒が話題になりまして, 「んじゃあ酒蔵見学に行こう!」という事になり行ってまいりました(こういうとき地域型 SNS はアクションが速い)。 今回幹事役を買って出た方の話によると, 蔵元である旭酒造さんはとんでもない山の中にあり, 「車じゃないと無理」という話だったのですが, なんと幹事役の方が運転までしてくださいました(漢だ!)。 本当に感謝です。
ところで「獺祭」って漢字, 難しいですよね。 これは蔵元の旭酒造さんのある「獺越(うそごえ,おそごえ)」という地名から来ているのと, 正岡子規の雅号「獺祭書屋主人」からも来ているそうです。 正岡子規の雅号は「獺祭魚(かはうそうををまつる)」が由来で, カワウソが捕らえた魚を河岸に並べる習性から転じて好書家をさす言葉でもあるようです。 知らんかった。
見学ではひととおりの工程を説明していただきました。 23% 精米のお米も見せていただきました(精米も 50% くらいなら機械で割と速くできるらしいのですが, それ以上だと相当時間をかけないといけないそうです)。 小さくて真ん丸くて極小のビーズのような「これがお米?」って感じです。 獺祭は 100% 山田錦で洗米も手洗いだそうで(手洗いなので一度に処理できる量が限られる), ホントこういう苦労があって私たちは美味しいお酒を飲めるのだなぁとちょっと感動します。
「獺祭」の特徴である(上槽に使う)遠心分離機も見せていただきました。 一度に処理できるのは80リットルほどだそうで, 「もっと大きい機械なら沢山作れるんじゃないんですか」 という質問に 「この機械1台でフェラーリが買えますよ」 と返されしばし絶句。 この遠心分離機で出てくる酒粕は喩えるならお味噌のような(味噌よりもうちょっと柔らかいかも)ペースト状になっています。 これで作る粕汁はまるでシチューのような見た目で味も最高だそうで, ちょっと(いや,かなり)羨ましいです。
普通の機械も見せていただきました。 いわゆる藪田式。 袋に詰めたもろみを機械でプレスしていくやり方で, これで出てくる酒粕がスーパーで売ってるようなやつですね。 でも藪田式は圧の調整が難しく, どうしても「余分なもの」まで搾り取ってしまうとか。 奥が深い。
ひととおり説明していただいた後は, 遠心分離機で取ったばかりのお酒を試飲させていただきました。 運転手の幹事さん, ごめんなさい。 めちゃめちゃ美味かったです。 当然ろ過前なので色は琥珀色, ちょっと炭酸が残っている状態で若干舌にピリッときます。 そして味は綺麗でかつしっかりしている。 本当に私好みの味。
旭酒造さんはもともと「旭富士」という(地元では有名な)お酒を造っていたそうですが, これがあまり売れなくなったため東京をターゲットに「獺祭」を造ったのがブレイクのきっかけのようです。 「獺祭」は特に海外で人気が高いそうで(税金の関係もあって)10万円以上の値で取引されるものもあるそうです。 つまり広島や地元山口での人気は東京や海外からの逆輸入だったりするわけですね。
旭酒造さんにはいわゆる「杜氏」さんがいなくて, 強いて言うなら社長さんが「杜氏」役として「造りたい酒を造る」という信念で経営をされているそうです。 正社員は10名程度, パートタイマーの方を入れても20人ほどで, この規模で世界を相手に美味しいお酒を造っているのです。
お土産には 39% 精米で遠心分離の純米吟醸酒を買って帰りました。 悔しい思いをした幹事さんは 23% 精米の一番高いやつを買われた模様。 いや, 本当にすみませんでした。
帰りの車の中では, このお酒にあう肴は何か, で議論。 味がしっかりしているので大抵のものにはあうと思うのですが, 赤なまことか色んな案が出てきました。 私は無難に(?)スーパーで刺身の盛り合わせを買って自宅でひとり鍋。 うまうまー!