さよなら「電子書籍」 The 3rd
まぁ,とりあえず以下を読んでください。 その後の私の文章は完全に蛇足なので読み飛ばしていいです。
- 著作権法の一部を改正する法律案:文部科学省
- 著作権法の一部を改正する法律案(概要) (PDF)
- 著作権法の一部を改正する法律案(要綱) (PDF)
- 著作権法の一部を改正する法律案(案文・理由) (PDF)
- 著作権法の一部を改正する法律案(新旧対照表) (PDF)
- 著作権法の一部を改正する法律案(参照条文) (PDF)
もはや何も言うまい。 パトラッシュ,僕はもう疲れたよ。 日本ではいったん法案として登ってしまうと引き返せないからなぁ。 ダウンロード違法化といい,違法ダウンロードの刑罰化といい,(独占から共有へと向かう)世界の潮流から外れた日本は何処へ向かうのか。
書籍出版業界は最も安直で且つ最も愚かな結論をくだし実行した。 これはある意味で書籍出版業界の集団自傷行為。 レミングの集団自殺は実はディズニー映画のヤラセだと聞いたことがあるが,してみると書籍出版業界はレミング以下ということか。 まぁ音楽と同様,「書籍業界はなくなっても書籍はなくならない」とでも言っておこうか。 本を出したい人は self-publishing でデジタルで出せばいいよ。 いくらでも実績はあるんだから。 お金や宣伝が足らないなら,クラウド・ファンディングでもソーシャル・プロデュースでもすればいいじゃない。
- 小寺信良:「補償金もDRMも必要ない」――音楽家 平沢進氏の提言 (1/4) - ITmedia LifeStyle
- “読み捨てされる作家”が個人で電子雑誌を創刊したら何が起こったか 漫画家・青木光恵に聞く - ITmedia eBook USER
エンジニア的に言えばね,「ルールが破られるのはルール自体に問題がある」んだよ。 これが「未然防止」の核心。 問題を「誰か」のせいにするのは絶対にやってはいけないこと。 それをしてしまえばシステムから人はいなくなる。
最後に大原ケイさんの記事からいくつか引用して,この件はもうお終い。 勝手にして。
「2011年にアメリカの議会でも「ネット時代のアメリカの知的財産を守る」というお題目で、SOPA (Stop Online Piracy Act)だの、PIPA (Protect IP Act)だの法案が出されたけど、あっちこっちから非難ゴーゴーでまったく採決に至らず、すぐに永久棚上げとなった。 アメリカ人は基本的に政府やお役所にネット上の活動をあれこれ指図されるのは大嫌いだし、オカミがちゃんと管理できるとも思ってないんで、こういう法案は「うるせー、ひっこめ。次の選挙で落とされたいかバーカ」となって終わり。」
(「電子出版権は本当に海賊版対策になるのか?」より)
「で、ひとつ言えるのは、海賊版を手に入れようという人にとって、DRMはあまり障害にならないということ。 これって、アメリカにおける銃規制問題と同じだな〜、と思います。 つまり、規制をいくら強くしても、それだと銃を合法的に持とう、安全に使おう、という人ばっかりが大変で、どう法律を作っても、そもそも銃を使って犯罪を犯そうという気持ちのある人は違法の銃をサクっと手に入れるだけのことなので、銃規制の法律ばっかりつくっても犯罪率が下がらないのと同じ。 DRMをガチガチにかければかけるほど、正規のユーザーに負担がかかる。Eブックだと友だちにも貸せないし、キンドルで買ったものはキノッピーじゃ読めないし、一つの棚にまとめられないし。」
(「電子出版権は本当に海賊版対策になるのか?」より)
「出版社も大々的に「海賊版はけしから〜ん!」とは言いたくないわけです。 被害が大きいと言えば言うほど、普通のEブックユーザーに「へぇ〜、タダでも読めるんだ」ということがバレますし、違法だと騒いでも効率よく訴訟で解決もできない(だから日本から「すみません、えへ、海賊版対策のこと教えて下さい」って言っても断られると思いますし、私もその辺はあまりコーディネイトしたくありませんので)。」
(「電子出版権は本当に海賊版対策になるのか?」より)
「なのに日本の電子出版権の騒ぎからは、本屋さんの万引きをなくそうってことの電子版、ぐらいのちまちました香りしか漂ってこない。 なんでこうなるのかな、って考えたんですけど、やっぱり日本人は本を「モノ」として捉えているということがウラにあると思うんですよ。 いわゆる電子書籍元年に出た拙著『ルポ 電子書籍大国アメリカ』でも、Eブックっていうのは「サービス」なので、いつまでもガジェットで考えているとダメですよ、発想の根本的転換が必要ですよ、ってのは言ってきたつもりだったんですが、こうやって電子出版権のルール、ってのを作っちゃえば問題解決!と思っているらしいところが、私のこの眉間の「?」の正体だったのかな、 と。 [...] 電子出版権も、隣接権もぶっちゃけあまり問題じゃない。 著者からコンテンツという知的財産を譲渡してもらうのか、委託してもらうのか、そしてそのコンテンツをどういう風に流通させて読者に届けるのか、つまりどう「出版するのか」をちゃんと明文化して契約書を作ることを怠ってきた。 電子出版権ってものがありますよ、なんて基本的なことから決めないと取り締まれない海賊版っていうのはそのツケなんだと思う。 そしてこのまま「電子出版権はとりあえず出版社にあるからね」ってウヤムヤにするのなら、著者はどんどんセルフ・パブリシングに流れていくだけなんじゃないかな。」
(「電子出版権は本当に海賊版対策になるのか?」より)
そういえば,どうして日本人は「映画泥棒」の広告に怒らないんだろうね。 ちゃんと怒れよ。 だから読者や視聴者はなめられるんだよ。
あー,そういえば。 最後の最後に宣伝しておく。
私は青空文庫に縁があるわけではないが,読者のひとりであるとは胸を張って言える。 でも今は自分の経済基盤の立て直しを図っているところなので,寄付はもう少し待ってね。 きっとするから。