「暗号技術の研究者が賭ける"自由の夢"」

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(この記事は「もっと辺境から戯れ言」に投稿した記事からの転載です)

「OpenPKSD Project Web Log」 4/2 の記事より。

IPA から『技の水脈、人の山脈』という PR 用の小冊子あるらしいのですが、 この冊子の PDF 版が公開されています。 この中に OpenPKSD プロジェクトに関する記事もありました。

暗号技術や OpenPGP についてそれほど詳しくなくてもそれなりに楽しく読める「読み物」の形になっています。 お勧めです。

内容的にも非常に重要な点がいくつか指摘されていて興味深いです。 個人的に興味を引いたポイントをいくつか挙げてみます。

  • 現行の PGP 鍵サーバの限界
  • PGP 鍵サーバ・サービスを事業として組み込むのは難しい
  • PostgreSQL と Ruby スクリプト言語を組み合わせた本格的かつ実用的なサービスアプリケーション
    • スクリプト言語でも実用上十分なパフォーマンスを確保できることを実証している
    • dRuby を用いたアクセス負荷分散を実装している
    • PostgreSQL を使い DB サーバのクラスタ化やノンストップ運用を実現
    • RFC850 (ihave/sendme) を使ったサーバ間のデータ同期
  • 知財権の問題
  • ビジョンまたはロードマップを示すことの重要性
  • 「先行する者としての社会に対する責任」

最後の「先行する者としての社会に対する責任」という言葉は非常に重いものとして受け取るべきです。 特に私のような「職業エンジニア」は何度でも肝に銘じておくべきだ、 と思いました。(忘れっぽいんです、私)

とはいえエンジニアの方でなくともお気軽に読める内容だと思います。 この記事を読んで OpenPGP や暗号システムについて少しでも興味を持っていただけると嬉しいです。

余談ですが、 『技の水脈、人の山脈』 には他にも面白い記事がありますね。 「旅の窓口」の記事はとても面白かったです。 私も出張先の宿の確保などに利用しています。