読者は別にどっちだっていい 他

no extension

色々ネタも溜まってるので,今回は「戯れ言」形式で。 今回のメニューはこんな感じ。

  1. セキュリティ・アップデート週間
  2. mintty + winpty
  3. タグ一覧ページを追加
  4. note と KDP のいい関係
  5. 読者は別にどっちだっていい

セキュリティ・アップデート週間

はい。 今回もセキュリティ・アップデート満載でした。 主なものは以下のとおり。

特に Adobe Reader に関しては

「同社のセキュリティ情報によると、Reader/Acrobatで今回修正した脆弱性は、Windows版のみが影響を受ける。悪用された場合、セキュリティ機能のサンドボックスを迂回される恐れがあるという。Windows版のReaderを標的とする「限定的な」攻撃も発生しているとされ、Adobeでは直ちに更新を適用するよう呼び掛けている」
Adobe ReaderとFlashの脆弱性が修正される、Windows版を狙う攻撃も - ITmedia エンタープライズより

とのことなので,該当者は早急にアップデートすること。 なお Adobe Reader は環境設定で自動アップデートにすることもできるので,設定を確認することをお薦めする。

via Adobe Reader Preference by Spiegel Attribution

まぁ Adobe Reader は使わないのが一番いいんだけどねぇ。

あと注意喚起がいくつか。

まぁ基本的にはいつものやつなんだけど,夏休みの注意喚起については,家庭内のセキュリティについて言及しているのが面白い。 まぁお盆も終わったことだし,今のうちに家庭内の状況を点検しておくのもいいと思う。

そうそう。 Gpg4win の 2.2.2-beta が出ている。

この前の問題の修正を含む GnuPG 2.0.26 が同梱されているのでアップデートをお薦めする。

mintty + winpty

この前の MinGW+MSYS の続き。

MSYS に同梱されている msys.bat は -mintty オプションを付けることで,コマンドプロンプトではなく, mintty を起動する。 mintty はシンプルでいいのだが, Windows アプリケーションとの間でうまくパイプがつながらないため,対話型のコマンドが動かないという問題がある。

で,これを解消するためには winpty を wrapper としてかませればいいらしい。

Download Package に入ってる実行モジュール(と DLL)を MSYS の bin ディレクトリに放り込んで

> mintty /bin/console.exe /bin/bash

とすればよい(msys.bat に同様の記述があるので,その部分を書き換えれば OK)。 当然ながら,この方法で直接 bash を起動すると /etc/profile~/.profile を読まずに ~/.bashrc (MSYS インストール直後は .bashrc はほとんど空)を最初に読むので注意が必要である。

タグ一覧ページを追加

このブログではタグの制御に Tagwire Plugin を使っている。

Movable Type には随分昔のバージョンから「エントリータグ」の仕組みがあったのだが,当時はあまりに遅すぎて使い物にならなかったので Tagwire の方を使わせてもらっている。 で,最新バージョンを確認するために久しぶりにサポートページを覗いてみたのだが,なんか色々おもしろい機能があるようだ。 当時は気づかなかったよ。 で,早速タグ一覧ページを作ってみた。

作り方は簡単。 MTTags および MTEntriesWithTags のコンテナタグを使う。 こんな感じ。

<MTTags sort_by="count" sort_order="descend" case_sensitive="0">
<section id='<$MTTag$>'>
  <h3><$MTTag$> <a href='http://delicious.com/spiegel/<$MTTag encode_url="1"$>' rel='dc:keywords'><i class='fa fa-delicious'></i></a></h3>
  <p>Recently Entries</p>
  <$MTTag setvar="mt_tag"$>
  <ul style='list-style:none;'>
  <MTEntriesWithTags tags="$mt_tag" case_sensitive="0" lastn="10">
    <li><a href="<$MTEntryPermalink$>"><$MTEntryTitle$></a></li>
  </MTEntriesWithTags>
  </ul>
</section>
</MTTags>

これで,使われているタグを使用頻度の高い順から取り出して,各タグごとに関連するブログ記事を最新から10個列挙していくことができる。

これの何が面白いかというと,このページ自体が「タグ」というリソースを示す URI として使えるのだ。 たとえば security というタグを RDFa で表現する場合に

<a href='/tags/#security' rel='dc:keywords'>security</a>

あるいは

<span resource='/tags/#security' property='dc:keywords'>security</span>

といった感じで述語と目的語を指示できる(主語は親要素のリソース)。 ちなみに RDF/RDFa には tag という語彙は存在しないようなので,苦し紛れに dc:keywords としてみたのだが, Validator には怒られなかった。 う~む。

note と KDP のいい関係

note で follow しているブロック作家 nano kanta さんの Kindle 本が出た。

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ブロック積んでる
nano_kanta
2014-07-02
評価

魔王のホライゾンシネマ 1: 素晴らしい世界 面白いほどよくわかる!Kindle direct publishing 魔法使いのお時間よ (愉快な魔法) 東京から電車で行ける外国 仏教は宗教ではない ~お釈迦様が教えた完成された科学~

by G-Tools , 2014/08/16

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ブロック積んでる2
nano_kanta
2014-08-06
評価

ブロック積んでる 超可動ガール1/6 : 1 (アクションコミックス) 目玉焼きの黄身 いつつぶす? 2 (ビームコミックス) マンガで分かる心療内科(1) (ヤングキングコミックス) 東京から電車で行ける外国

by G-Tools , 2014/08/16

実はこれに気づいたのが 2 が出た時で,慌てて 1 の方も買ったんだよね。 最近あんまり note で遊んでないのよ。 note 側が Web Money 系のカードを認めてくれれば,もっと遊べるんだけどねぇ(V プリカは OK らしい。 Master Card はお嫌いですか?)。

以前私はnote を「どんつき」のメディアと書いたが, Kindle は「どんつき」からの出口になりうると思う。 いや,面白い。

読者は別にどっちだっていい

なぜ Kindle (厳密には KDP)なのか。 それを考えるには大原ケイさんの以下の記事が参考になる。

では具体的に見ていこう。

「出版社とアマゾンの大きな違いは、やはり、アマゾンがユーザー(読者)至上主義で、顧客に少しでも安く商品を届けることを第一のミッションとしてすべての決定を下せばよいのに対し、出版社は著者と読者という2つのグループ双方によかれと思うビジネスを構築しなければならないという点だろう」
アマゾンが作り上げつつある出版エコシステムとは—Amazon’s guide to the publishing galaxy | Books and the Cityより

これは大原ケイさんの立場がよく表れていて面白いと思う。 でも,私は「読者」なので,そうは思わない。

喩えは悪いけど,出版社は「上座部仏教(最近は小乗仏教って言わないのね。まぁ差別用語だしなw)」で KDP は「大乗仏教」って感じだろうか。 いまどきの言い方をすれば出版社は「排除型」で KDP は「過剰包摂(bulimia)型」か。

「排除型」はまず舞台に立つまでが果てしなく「高い」。 出版社と契約するにしろパトロンを得るにしろ,そこに辿り着くまでにほとんどのアーティストが淘汰される。 で,出版社やパトロンは,それが「読者」のためになると思っている,本気で。 でも私たちは知っているのだ。 一方が選ばれもう一方が選ばれないことに合理的な理由などない,と。 これが音楽にしろ書籍にしろ「出版社」が機能しない(しなくなりつつある)本当の理由。

一方の KDP を含む「自己出版」はすべてを飲み込む。 それこそ「しっぽのさきっちょ」まで。 そして「嘔吐」するのだ。

「宝くじほどのヒットの可能性しかないとわかっていても、出版社に断られた時の「ゼロ」よりはチャンスがあるはずだと大勢の著者が集まってくる。アマゾンは、その本が売れようが売れまいが、アップロードするための料金を取る。著者の印税率が既存出版社より高くても、売れたら売れたで、アマゾンも売上げの恩恵にあずかれる。Eブックがダウンロードされれば、一方的に決めた料金で通信費をとることができる。著者には「安くした方がもっと売れるよ」と最初から言っておけばいいし、集まってきたタイトルの中からさらに割増料金で宣伝すれば効果が上がることも織り込み済みだ。
これがアマゾンが構築する出版エコシステムの「著者」の扱い方」
アマゾンが作り上げつつある出版エコシステムとは—Amazon’s guide to the publishing galaxy | Books and the Cityより

これはどちらが優れているか,という問題ではない。 同じことなのだ,どちらも,「読者」から見れば。 ただ,それぞれの舞台で生き残る Player が異なるだけのこと。 この「異なる」という点だけが重要なのである。

だからアーティストは自身の身の丈に合う戦略をとればいい。 出版社も KDP も「手段」にすぎないのだ。 出版社に相手にされないならライブや自己出版という手もある。 パトロンを得られないのなら crowd funding という手もある。 (もちろん自分で全部やるのなら,他人のせいにすることなく,自身を promote できなければならないが。まぁでも,それはどんな職種でも同じこと)

中塚武さんの Your Voice世界中を飲み込むうねりのような流れの速さに身を任せつつという歌詞があるが,アーティストもそれに応える私たちも,ただ流されるだけの存在ではない。

今の時代,私たちはコンテンツ(だけ)に対価を払っているわけではない。 そもそも「コピー(=出版)できるもの」の価値が果てしなく下がっているのに,そこに敢えてお金を出すのは何故なのか,ということだ。 それがわからないなら書籍出版も音楽出版の二の舞いになる。

だからといって苦し紛れに著作権強化とかやめてね。 情緒的な延命措置は,結局は周囲に迷惑をまき散らす。

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ルポ 電子書籍大国アメリカ (アスキー新書)
大原 ケイ
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス 2010-09-09
評価

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by G-Tools , 2014/08/16