『数学ガールの秘密ノート/整数で遊ぼう』で遊ぶ

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いや,今回は絶対にユーリちゃんのターンだって!

伝え聞きなのだが,「甘えきる」という言葉があるらしい。 「すっかり相手に身をゆだね何かにつけて際限なく甘える」とかいう意味らしい。 それって「僕」と話すユーリちゃんそのままぢゃん。 なんて可愛らしい... って思ったのよ。

きっと数学的には帰納法の章あたりがひとつの山なんだろうけど,個人的にはその前の数当てマジックの章をニヤニヤしながら読んでた。 このマジック自体を知らなくても 31 が 1FH (つまり5ビット全てが立っているというキリの良い数字)だということは(プログラマなら)即座にピンとくる。 そこを「2進数」という言葉を使わず丁寧に(しかも実に甘々な会話で)解きほぐしていく過程がほんとうに面白い(まぁ最後にはそれが2進数を意味することが告げられるのだが)。

(章の終わりの小問題もなかなか演出が効いている。 例えば25という数字は 24(18H)+1 と考えれば(3章の図表を見なくても)すぐにビット列を連想できる。 カードの並びで4の倍数かどうか当てる問題もシフト演算に置き換えれば直感的にわかる(最近の人達はどうか分からないが,昔は特定の乗除算をシフト演算で行っていた。Z80とか乗除算命令がなかったしね)。 裏返しの問題も,要は補数だし。 この章だけでコンピュータの初歩の授業ができるw 思い返せば,大学の FORTRAN の授業ではこんなことひとつもやらなかったけど,会社入っていちからコンピュータを叩きこまれた時はこんな感じで習ったなぁ,と)

こういう話を読むといつも思うんだけど,なんでヒトの手指って5+5本なんだろうねぇ。 もし4+4本だったらヒトの文明はもっと早く発達したんじゃないだろうか,なんて妄想してしまう(ちなみに工学的には指が3本あれば物を掴める)。

前の「式とグラフ」の時も思ったのだが,「数学ガールの秘密ノート」シリーズは小学生の高学年くらいなら理解可能だと思う。 私は子供の頃,湯川秀樹博士の伝記を読んで科学(特に物理学)に興味をもつようになったが,もし小学生時代に「数学ガールの秘密ノート」を読んでたら間違いなく数学に転んでたと思う。 「数学ガールの秘密ノート」が見せる数学は一見お気楽な感じだが,何か底知れぬ深淵を感じさせる部分がある。 あともう一歩踏み込んでしまったら二度と抜け出せないような気がするのだ。 こんなものを好奇心旺盛な子供時代に読んだら,そりゃあ大変なことになるに決まってる(笑)

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数学ガールの秘密ノート/整数で遊ぼう
結城 浩
SBクリエイティブ 2013-12-19
評価

数学ガールの秘密ノート/式とグラフ 数学ガールの誕生  理想の数学対話を求めて 解法のエッセンス 整数編 (高校への数学) 数学の勉強法をはじめからていねいに (東進ブックス TOSHIN COMICS) 根っからの文系のためのシンプル数学発想術

by G-Tools , 2013/12/23