「日本文化は、なぜブームで終わるのか」

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遅ればせながら 「日本文化は、なぜブームで終わるのか(趣旨説明)」 から以下の文を転載します。

著作権とは、いったい何でしょう?
それは本来、著作者が小説や映画・音楽などの
自分の著作物から生じるイメージや利益を守るために、
他人がその著作物を無断でコピーすることを禁じる権利のこと。
ただ多くの場合、著作者が不利な契約を結ばされて
その権利を「譲渡」させられていますし、
自分の意思で著作物を送り出そうとしても
他の誰か(たとえば映画会社や出版社・レコード会社・
JASRAC など)に妨害されたりしています。
それもまた「著作権」です。

著作権が保護される期間には限りがあります。 国際的な条約によって、著作者が生きている間と 没後50年間というように定められています。 この「没後50年」までの間に、 かつて生み出された著作物の殆どは人目に触れなくなります。 また著作者が亡くなった後については 利益を得られるのは当然 著作者本人ではありません。 それにもかかわらず現在では 欧米の主な国が「没後70年間」にまで延長してしまいました。

日本は、他の国と同じように国際条約どおり「没後50年間」のまま。 確かに欧米とは保護期間に20年間の差がありますが、 米国では「没後70年間」の扱いを受けられていますし、 欧州においても互いの著作物をやりとりするとき 「没後50年間」の扱いなら受けられます。 欧米の国々と互いの著作物をやりとりしても、 国際的に充分と認められた公平な保護を互いに受けているわけです。 日本の文化は世界の文化と同等に扱われています。

わたしたちは、存命中の著作者が創作活動に専念し 文化の質を高められるよう、保護期間延長以外の手段で 著作者の生活が保障されることを願っています。 著作権は、本来著作者にとって創作の糧となる大切な権利で、 すでに亡くなり新たに創作できない著作者への保護を延長しても 「創作の糧となる」目的を果たすことなどできはしません。 日本にとっての夢や誇り、そして大きな可能性を秘めた宝物にも 勿論のこと全くなり得ません。

著作権保護期間を延ばすことと、 日本の文化を大切にすることとは無関係。 著作権の、安易な保護強化を阻止するため、 どうかご理解とご協力をお願いいたします。 日本文化を、真に愛するために。

(licensed under a by-nc-sa by 暇人)

私達は常に他者との関わりの中で生きています。 人として生きる限り(それが間接的なものであっても)他者と無縁でいることはできません。 そしてたくさんの「他者との関わり」の重なりの上に社会があり文化があるのです。 著作権は非常に強力な権利です。 何故ならこの権利を行使することで他者をコントロールすることができるからです。 他者をコントロールできるということは社会や文化の行く末を変えてしまえるということです。 それ故に法的コードの設計および行使には細心の注意を払う必要があります。

「著作」は特定の企業・団体やクリエイターだけが持つ特権ではなく全ての人に与えられた「人としての能力」です。 その全ての「人としての能力」を社会全体で最大化するよう調整していくことが「文化的所産の公正な利用」(著作権法第一条)であり, そのことによってはじめて「文化の発展に寄与する」(著作権法第一条)ことができるのです。 これからの著作権法に関する議論が以上の点を踏まえた上で行われることを期待します。

参考: