「イミテーション・ゲーム」が面白かった。
いや,本当に面白かった。 春先にこんな素敵な作品が見れるなんて,サロンシネマさん,ありがとう。
これだけは言わせてくれ。 サロンシネマさん,本当にありがとう。
サロンシネマには学生時代(当時は鷹野橋にあった)からお世話になっているが,良質の作品を提供し続ける良質の箱である。 広島のシネコンが郊外に撤退し続ける中,良質の箱を広島中心街に置いて運営し続けるのは並大抵ではないと思う。 私は普段,広島市のことを「文化過疎地」と呼んで憚らない男だが,サロンシネマ系列の映画館は全国に誇っていいと思う。
なによりサロンシネマには(あの史上最悪のネガティブ広告である)「映画泥棒」がない。 アメリカンサイズの(無駄にデカいだけの)ポップコーンとコーラもない(その代わり自家製レモネードを売ってる)。 見に来る客が自然に作品に没頭できるよう,さりげない配慮が随所にある。 マイレージみたいなサービスでもなきゃ積極的に観に行くこともない(しかも安くないお金を払って見に来る客を泥棒呼ばわりする)下種なシネコンよりも百倍はマシである。 広島市民はサロンシネマやシネツインや八丁座を積極的に利用するんだ!
ハァハァ。
さて「イミテーション・ゲーム」の話。 「イミテーション・ゲーム」の主人公であるアラン・チューリングは今もなお「天才」と称される数学者であり,「コンピュータの父」と呼ばれるほどの偉人である。 そしてチューリングの偉業のひとつが,旧ナチス・ドイツの暗号機械「エニグマ」の解読である。 作品はそのエニグマの解読を主軸に物語を展開していく。
とはいえ,この作品でアラン・チューリングやエニグマについての事前知識は全く不要。 知らなくても十分に楽しめる。 いや,知ってても面白いけどね。 数学の知識も不要だが,多少知ってたらニヤニヤできて楽しいかもしれない。 ニヤニヤしたい方は結城浩さんの「数学ガール」シリーズあたりを読むことをお勧めする。
この作品の面白いところは,既存のどんなジャンルにも当てはまらないことだ。 評論家や批評家は,既存のジャンルに押し込めて知ったかぶりな解説を始めるかもしれないが,どんな枠組みもこの作品を矮小化させるだけでふさわしくない(もちろん作品を観た私たち観客がどう思い解釈するかは自由だ)。 この前観た「仮面ライダー3号」のように分かりやすいアイコンで頭空っぽにして観れるのもいいけれど,たまには「イミテーション・ゲーム」みたいな作品も観ないとね。
ちなみに私はクロスワードパズルは苦手。 クロスワードパズルは語彙力が全てで,語彙力があれば論理なんかなくても解ける。 やっぱ数理パズルは数独(sudoku)がシンプルかつ最強だと思う。 数理パズルは解き方が分かれば(短時間で解くための)最適化を考えるようになり,最適化ができるようになると自分で問題を作れる(つまり論文が書ける)ようになる。