オトナの社会科見学: 盛川酒造株式会社
お好み焼き屋「ふくろう」の大将が「4月12日に「白鴻」の蔵の蔵開きがあるんだけど,一緒に行く?」と言われ2つ返事で参加することにした。 やぁ,酒蔵見学久しぶり。
お酒のイベントに車で行くわけにはいかないので,呉線にみんなで乗りあわせて行くことになった。 10:06 広島駅発の「瀬戸内マリンビュー」。
呉線久しぶりだよ。 昔,「はやぶさ」の特別展示を見に行って以来かな? あの時の行き帰りの電車からの眺めが結構よかったので「呉線走る観光列車があればいいのに」とか話してた覚えがあるんだけど,本当に観光列車ができていた。 土日に1往復するだけみたいなので,広島に住んでる人にとっても結構レアかもしれない。
内装はこんな感じ。
ちなみに2両編成で写真のは指定席車両。 他のお客さんは早速酒盛りを始めていたが,私たちは目的が酒蔵なので,それまでは我慢の子。 広島駅から安浦駅までは1時間20分くらい。 瀬戸内マリンビューは快速電車でかなりの駅をすっ飛ばすのだが,呉線は単線なので,頻繁に待ち合わせが発生する。 まぁ,それも含めて列車の旅なんだけどね。
瀬戸内マリンビューでテンション上がりっぱなしのまま安浦駅到着。
ここからは送迎の車が来るらしい。 マイクロバスでも来るのかなぁ,と思ったら普通の車だった。 しかもボランティアの方々が手伝ってくれてるとか。
そして蔵開きの会場へ。
おおっ,テントがいっぱい立ってる。 なんか町ぐるみのイベントっぽくなってるぞ。 盛川酒造さんのこのイベントは3年前から始まったそうで,年々少しずつ人も増えてきているらしい。
蔵の見学は開始時間が決まってるので,とりあえず予約だけして,まずは乾杯。 ちなみに入場料は500円で1杯目のウェルカム・ドリンクだけは無料。 あとは1杯100円または300円で試飲できる(大吟醸の「沙羅双樹」のみ300円)。 値段は安いのだが,おちょこでチマチマもらうのがだんだん面倒くさくなってきたので,結局ボトルを買って,ただの宴会に突入(笑)
そうこうするうちに見学の時間になったので,蔵へ GO
右端のパネルを持って説明をされている方が杜氏さん。 盛川酒造さんは兄弟で経営されているそうで,お兄さんが社長で弟さんが杜氏なんだとか。
(昔は杜氏は季節労働者で,冬の仕込みの期間だけ雇われて泊まりこみで仕事をし,夏の間は寝て暮らしてたりしてたそうだが,今は年間契約で杜氏さんを雇うところが多いと聞く。 また盛川酒造さんのように自前で杜氏役をやったり,「獺祭」の旭酒造のようにそもそも杜氏を置かない蔵もある。 フリーの杜氏や蔵人というのは少なくなってきているのかもしれない)
ここの蔵は比較的規模が小さいそうだけど,蔵人は杜氏を含めて3人しかおられないらしい。 しかし,それ故に,細かく行き届いた仕事ができるということで,お酒の味については絶対の自信を持っておられるようだ。 たとえば,見学者からの質問で「吟醸酒と普通酒はどう違うのか」と訊かれ,少し困っておられた。 盛川酒造さんでは吟醸酒と普通酒で工程自体は変わらないから,らしい(確かに「白鴻」は普通酒も美味い)。 強いて挙げるなら,それぞれのお酒で最終的に出来る味のイメージから逆算しながら洗米からの工程をチューニングしていくのだそうだ。
(日本酒は世界的に見ても非常に高度な技術でできている。 生物学や化学の粋を極めた製品である。 決して「神様の思し召し」でできているのではないのである,日本酒は。 なので私は日本酒を作る杜氏さんは世界に誇るべき「本物の Hacker」だと思っている)
酒蔵見学はいくつか行ったけど,杜氏さんがここまで丁寧に説明してくださるところはあまりないんじゃないだろうか。
さて,蔵見学も終わったので酒盛り再開。
実は,お酒のイベントなので食べ物は正直期待してなかった。 まぁ,肴用にきゅうりと味噌でもあればいいや,程度にしか思ってなかったのだが,ここのイベントは食べ物も美味かった。 特に蕎麦が美味い。 パンフレットを見ると「そば打ち同好会」なる方々が,そばを打つところから作っておられるらしい。 しかもあの「高橋名人」から直々に教わったものなんだとか。 まじすか! まさか田舎町のイベントに本気の蕎麦が出るとは思わなかった。 あと焼き鳥とか天ぷらとかも美味いの。
それから安浦名産(らしい)のシラウオ。
広島以外の方はピンと来ないかもしれないけど,広島ではシラウオを生きたまま「踊り食い」で食うのよ(でもスーパーとかでシラウオを買ってもすぐ死んじゃうので,自宅で踊り食いはできない)。 今回のメンバーの中にも踊り食い初めての方がいて,かなり大騒ぎしながらも美味しく頂いた。
いやぁ,楽しかった。 来年もあればまた参加したい。