久しぶり「旅行部」活動: 須佐神社 ほか
結局,昨年は一度も参加できなかった「旅行部」の日帰り旅行。 今年の最初の活動は無事参加できました。 前夜は朝まで飲んでたけどね。
今回の最初の目的地は島根県の須佐神社。 最後は温泉に入りたいねぇ。 それ以外は何も決めずにスタート。 これが「旅行部」クォリティ(笑)
私は松江市の出身だけど,地元民でも須佐神社は知らない人のほうがが多いはずなのだが,聞いたところでは最近はパワースポット(笑)として有名らしい。
旅行部メンバーの車に乗せてもらい,寝不足でうとうとしている間に須佐神社に到着(途中,道の駅で休憩した気がするがあまり覚えてない)。
ここで大変なことに気づく(いや実はもっと前から気づいていたが)。 前夜にやらかして財布が空っぽなのである。 ほら3月14日って「ご馳走おぢさんの日」でしょ(違ったっけ? 数学の日? アインシュタイン博士の誕生日?)。 一応お金は残しておいたはずなのに,何でなくなってるんだろう。
と,まぁ,そんな不安を抱えつつ,小銭入れに賽銭程度の小銭はあったので,境内を参拝する。
これが須佐神社の本殿。 屋根の上のトンガリ(「千木」または「鰹木」と言います)の先っちょが縦に切り込まれている(「外削ぎ」と言います)のが男神さんである証拠(ここ,後で重要になるので覚えておいてね)。
これがパワースポット(笑)として噂になっている大杉。 この木の傍に木の欠片(?)をひとつ600円で売っていた。 スピリチュアルなみなさん,お買い上げありがとうございます(笑)
大杉のすぐ近くにある稲荷社。 こちらへのお賽銭は少し多めに奮発してみた(笑)
境内の一番奥にあった三穂社の本殿。 ここには男女の神さんが祀られていて,本殿がふたつある。 千木が外削ぎと内削ぎ(千木の先端が水平に切り込まれている)のふたつあるのがお分かりだろうか。 本殿がふたつあるってことは別居中なんですかね(笑)
そうそう。 ここで「だんだんパスポート」なるものをゲット。
スタンプラリーになっていて,スタンプをためるとなにかもらえるらしいが,ここの須佐神社同様,辺鄙なスポットばかりなので complete するのはかなり大変と思われ。
須佐神社の向かいにある天照社も参拝した。 ここの神さんはアマテラス神なので内削ぎの千木である。
さすがにこの辺は分祀された社が多いが,須佐神社の境内ではなく須佐神社の周囲のかなり広い範囲に散らばっているのが特徴のようである。 つまり須佐神社の affordance は周辺に広がっていると見るべきだろうか。
ここで少し出雲神話について簡単に解説しておく。
当然ながら記紀に書かれた出雲神話など嘘っぱちである(ヤマタノオロチが斐伊川の化身だなどと曰う連中には指をさして笑ってよい)。 出雲の神話は出雲風土記が(宗教原理主義的な意味で)「正史」だ。
通常,各地の風土記は中央から派遣された「国司」が編纂するが,出雲の場合は出雲国造(出雲大社の「千家」の御先祖さんである)が編纂している。 なので,中央へのリスペクトは皆無なのだ。 たとえば出雲風土記の多くを占めるのは「所造天下大神(天の下造らしし大神)」(大穴持命=大国主命)についての記述で,21回登場している。 一方,天皇についての記述は4回で,そのうち3回は年期代わりに書かれたものである。
実は出雲風土記ではスサノオ神(色んな当て字があるのでカタカナで統一する)に関する記述も4回しかなく,内容も簡素で短いものばかりである。 これには様々な推測ができると思うが,少なくとも出雲地方におけるスサノオ神の政治的地位はあまり高くなかったとみなせるだろう(出雲四大神は熊野大神,佐太大神,野城大神,大穴持命の四柱)。
しかし実際に出雲地方の大社・神社をまわるとスサノオ神の社や祠があちこちに存在する。 おそらく出雲が中央に併呑される過程で神話の混濁(hybrid)が起こっていると考えるべきだろう。 なので,須佐神社を除けば,大社・神社に祀られているスサノオ神は大抵「後付け」であると考えることができる。
話が逸れ過ぎてしまった。
所期の目的は達成したので,昼飯を何処で食おうかという話になったが,須佐神社周辺には目ぼしい食べ物屋さんがない(キジを食わす店の看板があったが要予約らしい。あと「やぎアイス」はちょっと気になった)。 なので,出雲大社まで降りて,そこで蕎麦でもたぐって,ついでに参拝でもしようということになった(あと私もお金降ろさないといけないし)。
気まぐれで途中「旧大社駅」に立ち寄る。
廃線の風景って何となく物悲しい感じがするよね。
昼飯は「荒木屋」で。 本当に久しぶりに割り子を食べた。
(ここの鴨すいはお薦め)
いや,(昔はともかく今は)地元民は行かないよね。 観光客でいっぱいだし,何気に高いし。
割り子は好きなのだが,つい食べ過ぎるので,普段は意識して食べないようにしている。 通常,割り子は3枚で1人前なのだが,これで満足する人は少ない。 てか,みんな5枚とか6枚とか頼んでた(一番大食いの友人は8枚+α)。 私は4枚+鴨すいで。 デザートは蕎麦アイスでした。 満足。
昼食後は出雲大社へ。 しばらく来ない間に,変なオブジェが増えている。
これって多分「因幡の白兎」だよねぇ。 もちろん「因幡の白兎」も出雲風土記には存在しない(まぁ出雲の話じゃないしね)。 このへんにも神話の混濁が垣間見える。
今の出雲大社に神社の affordance は失われてしまったような気がする。 子供のころ遠足で来たときとは雰囲気が全く変わってしまった。 「旅行部」部長の元バスガイドの人に聞いたのだが,出雲大社では拝殿ではなく本殿の横っちょにある賽銭箱にお金を入れて拝むらしい。 なんだそりゃ。 初耳だよ。 なんでもそれが出雲大社の「常識」なんだそうだ。 何処へ行くのか,出雲大社(笑)
ついでに,さっきの話の続き。
千家の御先祖さんである出雲国造は元々は意宇地方(現在の松江市南部から安来市にかけて)の豪族で,意宇から西進し最終的に今の出雲市を平定することで出雲の国を造ったと言われている。 このとき地元の地祗である杵築神社の大穴持命を「所造天下大神」として(文字通り)祭り上げ,杵築神社を「大社」とした。 そして自身は神官におさまり杵築大社(=出雲大社)を出雲の政治の中心としたのである。 故に出雲大社は人事つまり縁結びの神なのである。 要するに「縁結びの神」つってもロマンティックな話はひとつもなく,ひたすら血なまぐさい政治まみれの話だったりするわけだ(笑)
(いわゆる「神在月」には出雲地方では神さんの「百鬼夜行」があって,悪い子は連れて行かれると脅されたものである。 おかげで私は夜中に一人でトイレにいくのがメチャメチャ怖かった。 悪い子の自覚はあったんだねいw)
そういえば出雲大社の境内に「大物主命」の分祀があった。 大物主命とは大国主命の別名で京都では祟り神(記紀に記述がある)として祀られているはずである。 それが巡り巡って出雲大社に来るというのは面白い。 ちなみに大物主命とは物(=鬼(もの))の王という意味である。
観光地土産の定番も発見。
いやいや,買いませんよ(笑)
実は今回初参加の子がいて,須佐神社から「朱印帳」デビューした。 で,須佐神社と出雲大社で御朱印を貰ったので,ついでにもう一社行こうという話になった。 というわけで日御碕神社へ GO!
日御碕神社はアマテラス神とスサノオ神の社がそれぞれあるのだが,アマテラス神の本殿(下の本社)の千木は「外削ぎ」でスサノオ神の本殿(上の本社)の千木が「内削ぎ」になっている。 一瞬「逆じゃないの?」と思ったが,説明書きもそうなっているのでそうなんだろう。 神社も色々である。
目ぼしいところは回ったので,島根ワイナリー経由で温泉に行こうという話になった。
車を運転してくれる人がいるので今まで遠慮してたけど,島根ワイナリーでは山ほど試飲した(ちなみに運転役の人はぶどうジュースを飲んでた。ワイナリーのぶどうジュースって美味しいよね)。 私は,お酒は好きで日本酒はある程度分かるけどワインはさっぱり。 でもここの「ENMUSUBI ロゼ」は何となく飲みやすかったので買って帰った(行きつけのお店に預けてる。既に飲まれてるかもだけど)。
温泉は近くに「源泉掛け流し」の施設があるというので,「割烹温泉ゆらり」へ行ったみた。 いやもう和んだ和んだ。 客も地元の人がほとんどみたいで,めっさ気楽。 露天風呂で子供が駆けまわったり。 いいですよ,ここ。
温泉の後,広島まで帰ってから晩飯食おうかと言っていたのに,「旅行部」部長の突然の強権発動で温泉の近所の回らない回転寿司屋で100皿くらい食い散らかしました。 初参加の子も「いつもこんなんなんです?」と呆れていたが,すみません,だいたいこんな感じです。 団体行動ができないダメな大人が集まるとこうなってしまうんですねぇ。
ちうわけで,次回は宇和島だ! 行けるといいなぁ(仕事次第)。