小咄 ...いろいろ
今回は戯れ言モードで。
- 太陽系外惑星系に名前をつけよう!
- “Send Your Name to Mars”
- 社会は新聞を必要としない
- だだをこねる FBI
- 日本版 WikiLeaks
- 知的財産権と TPP
- ウイルスバスターから乗り換える
- Dropbox から乗り換える
太陽系外惑星系に名前をつけよう!
IAU(International Astronomical Union; 国際天文学連合)主催の太陽系外惑星系命名キャンペーン。 IAU が選定した260の系外惑星系およびその惑星305個に名前をつけようということらしいです。
ただし個人では応募できなくて,あらかじめ団体登録が必要です。 応募可能な団体は天文関係のクラブまたは NPO だそうです(登録受付は先月までで終わっている? のかな)。
手続きは結構面倒で,まず今月中に登録団体による投票を行って命名対象の惑星系を20から30程度に絞ります。 その後,登録団体ごとに提案(proposal)を行います(今年いっぱい)。
そして来年2015年3月から提案に対して一般投票が行われます。 投票できるのは NameExoWorlds に登録した個人です。 投票を踏まえ2015年7月に IAU の Executive Committee Working Group on Public Naming of Planets and Planetary Satellites
にて最終決定します。 公表は2015年8月上旬に行われる IAU 総会で行われる予定です。
天文ファンの方々は来年の一般投票までお楽しみに! というところでしょうか。
“Send Your Name to Mars”
ちうわけで早速応募しました。
締め切りは今月いっぱい。
社会は新聞を必要としない
- 「報道メディアがなくなったらみんな困る」はほんとうか - YAMDAS現更新履歴
- Long Tail World: クレイ・シャーキー「新聞、考えられないことを考える」:Clay Shirky's "Newspapers and Thinking the Unthinkable"
ここで言う「報道メディア」というのは新聞・テレビ・雑誌といったいわゆる「マスメディア」を指しているらしい。 で,それに対して
となるのだろう。
これで思い出したのが歌川令三さんの『新聞がなくなる日』だったのだが,この本はもう売っぱらってしまったので手元にない。 たしかこの本では2011年のアナログ停波を機に既存のマスメディアは一気に縮小して最終的にはほぼ無くなるみたいな事が書いてあったような気がするが,実際にはそんなことはなさそうである。
もう新聞・テレビ・雑誌は「万人のメディア」ではない。 それは間違いない。 テレビに addict する人々を指して「一億総白痴化」などと言ってのは大昔の話である。
逆に世間に流れる「ニュース」の量は,マスメディア全盛の時代よりも,圧倒的に増えている。 もはや「事実」だけを濾し取ることは不可能で,そこに付随する賞賛や批判や中傷や噂なども抱き合わせで喰らわされている。
また特定のジャーナリストを信用するということもない。 マスメディアという権威を剥ぎ取られたジャーナリストには信頼を担保するものがない。 かといって不特定のユーザに対して地道に信頼を積み上げていくようなジャーナリストは(少なくとも日本では)皆無と言っていい。
これが今メディアに現在進行形で起こっている「大変化」で,それは「ジャーナリズム」そのものの「再構築(restructuring)」であり,この変化と再構築に適応できず「放送(broadcasting)」しかできないマスメディアは,もはや全然お呼びでないのだ。
だだをこねる FBI
いや,もうね,セキュリティや暗号に関心があるまたは関連する業務を行っている人には毎度の話なのですよ。 実は似たような話は以前にもあった。
このときの対象は RIM 社だったけど,(主に「第3国」で)暗号化された通信内容の監視ができないことを理由に BlackBerry の主要サービスを禁止しようとした。 これに対して RIM 社は BlackBerry サーバを訴えのあった国に置くことでサービス禁止を回避している。
実はこの時も FBI からのちょっかいがあって,暗号データに裏口を設けろと主張していた。 もちろんこの FBI の提案が実現しなかったのは周知のとおりである。
米国では昔から定期的にこの手の議論が噴出する。 ここで説明するのは面倒なので,詳しくは Steven Levy さんの『暗号化』を読むか「鍵寄託(key escrow)」「Skipjack 暗号」「クリッパーチップ(Clipper Chip)計画」といったキーワードで検索してみてほしい。
こういう意見もある。
おそらくこの著者の方はキャリアに近いところにおられる方だと思う。
電話の歴史は盗聴の歴史でもある。 それは電話がデジタル化されてからも同じだ。 以前書いた「GSM の暗号の解読」でも紹介した『情報セキュリティ技術大全』の一節をここでも紹介しておこう。
これは GSM の話だけど 3G でも(そして多分 4G でも)状況は同じである(4G には関わったことがないので断言できないけど)。 キャリアの関心は「端末の不正使用の防止」であり,警察組織の関心は「〈犯罪者=市民〉の監視」である。 そして両者の共通点は「個人のプライバシーには関心がない」ことであり,その共通点で以って両者は協力関係にある。
はっきり言うけど,端末内のデータはキャリアのものでも端末メーカのものでも(もちろん国家のものでも)ない。 だからいくら警察が端末メーカに礼状を持ってきても応じる義務はないし,すべきではない。 Apple も Google も「秘密の抜け穴を開ける特別な仕組みを作る技術力」がないわけではなく(まぁ Apple はないかも知れなけど)仕組みを作らないことで端末メーカとして「ユーザとの信頼」に関するリスクを回避している(日本企業は「お上のために」頑張って作ってそうだけど)。 もし応じる義務があるというのなら,それは端末の問題ではなく暗号全体に関わる話になる。 SSL/TLS や ssh やその辺に転がってる暗号ツールにも全部「裏口」を設けろということになってしまう(というか実際に FBI は一貫してそう主張している)。 これは「電話の盗聴」とは根本的に異なる話なのだ。
たしかに20世紀までは「暗号」は軍事武器で個人が使うものではなかった(なので個人や企業には「弱い暗号」しか認められてなかった。今でも個人が暗号を使うことを禁止してる国がある)。 しかしここ20数年の間に民間の暗号技術(とその解読技術)は飛躍的に向上している。 つまり「警察にできることは犯罪者にもできる」のである。 だから米国は21世紀に入って暗号技術を解禁したのだ(輸出に関してはまだ規制が残ってるけど)。 警察に解読できるような暗号なんて使いものにならないからだ。
(ただし,民間の暗号専門家と NSA との差はどうなってるか分からない。 10年前は「NSA との差は5年程度」と言われてた気がするが,あれから差は縮まったのか開いているのか)
あと,今回の件について重要な視点を忘れてはいけない。 今は「WikiLeaks 以後」で「スノーデン以後」なのだ。 個人にとって「国家」は信頼に足る存在ではなくなりつつある。 ここから後戻りすることはできない。
日本版 WikiLeaks
WikiLeaks と言えば日本版 WikiLeaks ができるらしい。
いやぁ,まさかハフポストの記事を引用することになるとは思わなかったよ(日本のハフポストはその辺の「まとめ記事」と変わらないので基本的に見ていない(この記事もそうだし)。あと微妙に使いにくい)。 まぁ新聞系のページを指示するよりはマシだけど(新聞系のページは消えるからねぇ)。 ここで気になるのは,やはり特定秘密保護法との兼ね合いかな。
「『日本人が知らないウィキリークス』を読む」でも紹介したけど,日本では内部告発は「公益通報」として社会システムに包摂されている。 しかし WikiLeaks はその「公益」を無効化する破壊力がある。 日本版 WikiLeaks がそこまでの存在になれるかは疑問だけど,意義はあるかも知れない。
知的財産権と TPP
そして WikiLeaks といえば TPP だよね。
- Latest Intellectual Property Chapter Of TPP Agreement Leaked: Would Be A Disaster For Public Health | Techdirt
- TPPの資料がまた流出、アメリカが著作権に関する戦慄の提案を推し進めていることが明らかに - GIGAZINE
- 誰のための著作権か — TPPと日本の知的財産権
『誰のための著作権か — TPPと日本の知的財産権』は必読。 断片的にしか伝わってこない TPP の情報をリークを基に分かりやすく解説している。
そういや ThinkTPPIP って仕事してるの? って思ったが一応してるのね。 まぁ MIAU と一緒で,あそこもあまり過激な行動はできないみたいだし,あまり期待しないでおくことにしよう。
表現とかアイデアってのは本来誰のものでもなく「公有」のものである。 でも近代社会では,それでは作家(というより出版社)や発明家がマネタイズできないから期限付きで「財産権」を付与しましょう,というのが元々の発想なのだ。 だから「ボクの考えた表現」や「ボクの考えたアイデア」や「ボクの考えた名前」や「ボクの考えた怪獣」や「ボクの考えたネズミ」は「ボク」のものではない。 TPP で密かに推し進められている知的財産権戦略(特に著作権期間の延長や非親告罪化等の議論)は「公有」のものを「私有化」する動きであり,ぶっちゃけこれは「侵略」なのである。
「空き地」と commons
そういえば『誰のための著作権か』に書かれていて「18歳からの著作権入門」にも言及があるのだが
それは「阿吽の呼吸」じゃないと思う。 「阿吽の呼吸」というのは両者が対等でないと成立しない。 でも日本の(少なくとも現代の)2次創作は対等の関係ではない。 言ってみればそれは「空き地で遊んでいる子ども」と同じ。
「空き地」は私有地だけど,かつてはそこで遊ぶことに関して「お目こぼし」されていた(昔の話だよ)。 なぜならそれは「子どものやること」だからだ。 だから「子どものやること」で済まなくなれば当然怒られる。 で,そのさじ加減は法的根拠なんか何にもなくてあくまで所有者の裁量で決まっている。
今の子どもは「空き地」で遊ぶことはほぼ許されない。 私有地だから。 子どもが遊ぶためには明示的な commons が必要なのだが「公有」と「私有」と「共有」の区別ができない子どもには commons が作れない。 今の2次創作はそれと全く同じ。
日本はいつもそう。 限定的な環境に過剰に適応してしまい,「外乱」によっていとも簡単にパニックに陥り最終的には駆逐される。 日本の産業界ではそれを称して「ガラパゴス」と呼んでいる。 創作と TPP の関係もそれと同じ。 TPP は「外乱」で公有地の私有化を目論んでいる。 でも日本の権利運用はあまりにも ad hoc で,利用者は「公有」と「私有」と「共有」の区別ができない「子ども」なのである。 そこから改善していかないと駆逐されちゃうよ。
ウイルスバスターから乗り換える
初代のスマホ以来お世話になっているウイルスバスターモバイル。 更新時期が迫っていてどうしようかと思っていたのだが,無料の Avira に乗り換えることにした。 理由は4つ。
- スマホの最大のリスクは紛失・盗難だが,最近は「Android デバイス マネージャー」でリモート制御できるようになった
- 適切な運用をしていれば malware の実質的な被害はほぼゼロ
- バックアップはクラウドで OK
- 以上の点を踏まえた上でウイルスバスターモバイルの利用料は割高に見える
いやウイルスバスターモバイルも頑張ってるのは知っている。
が,正直に言って malware は正規のストアを使いよほど変なアプリでも入れない限り問題にならない。 正規のストアに malware が全くないわけではないが,よく見れば怪しいものはわかるし,話題になれば削除もされるので,まぁ大丈夫。なレベルで済んでいる。 将来的にはどうなるかわからないが。
個人的には安全な VPN サービスが欲しいところ。 そういうのがあれば,またお金を出してもいいかなぁ。
スマホのセキュリティ管理については以下を参考にどうぞ。
安全なネットライフを。
Dropbox から乗り換える
今の HTC のケータイに乗り換えた時にボーナスで Dropbox の容量を23GBほど貰ったんだけど,それが期限付きで,2年縛りが終わる今年末で期限が切れる。 Dropbox からは Pro に乗り換えろと言われているのだが,思い切って Dropbox から他のストレージサービスに乗り換えることにした。
- Dropbox 自体のアカウントは無料のまま残す。 KeePass 用に使うし(KeePass のファイルは暗号化してあるので一応安全),他の人との共有で使えるかもしれない
- プライバシー上問題のないドキュメントを box に移行する。 box では10GBもらえる。実は愛用の ezPDF Reader が box と連携できるので都合がいいのだ。ドキュメントはクラウドに置くべきだよね
- 携帯端末にある写真のバックアップは Copy で行う。最初から20GB貰えるので写真や動画はこちらのほうが都合が良い。私の場合プライバシー上問題のある写真は撮らない主義なので素のままクラウドに置いても問題ない
- ちょっと内容がアレかなぁ,というファイルは SpiderOak に入れることにした。本当は KeePass のデータベースファイルもこっちに入れたいが,アプリが対応していない
というわけで Dropbox はほぼ「要らない子」になりつつある。
今回紹介した参考図書
- 情報セキュリティ技術大全―信頼できる分散システム構築のために
- ロス アンダーソン Ross J. Anderson
- 日経BP社 2002-09-07
- 評価
10年以上前の本だが内容はさほど古びていない。歴史資料としても価値があると思う。
- 日本人が知らないウィキリークス (新書y)
- 小林 恭子 白井 聡 塚越 健司 津田 大介 八田 真行 浜野 喬士 孫崎 享
- 洋泉社 2011-02-05
- 評価
WikiLeaks のインパクトと「WikiLeaks 以後」について分かりやすく解説した論説集。