『数列の広場』で「無限」と遊ぶ
「結城友奈は勇者である」に対抗して「結城浩は数学ガールの作者である」と言ふのは何うか
— 野嵜健秀 (@nozakitakehide) 2014, 10月 20
『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』読了。 いやぁ今回はテトラちゃんのターンだったね。 「丸い三角関数」のときは自信喪失気味だったテトラちゃんだけど,今回は数学変人のあの2人によく食らいついている。 おじさんはうれしいよ。
「数列の広場」のサブタイトルの通り,今回は数列,つまり「無限」や「極限」を取り扱っている。 数学的な意味での「無限」や「極限」を理解するのはちょっぴり難しい。 たとえば,よくある式
\[ 0.999 \dots = 1 \]
が数学的に正しいと直感的に理解できるようになるには少々慣れが必要かもしれない(私も油断すると間違える)。
私は「数学ガールの秘密ノート」シリーズを紹介するとき「頑張れば小学生の高学年くらいなら理解可能」と評しているが,上述の理由で「今回は小学生には厳しいかなぁ」と思っていた。 しかし実際読んでみたらさにあらず。 毎度のことながら「素晴らしい」の一言に尽きる。 あれなら「頑張れば小学生の高学年くらいなら理解可能」と言っていいかもしれない。 さすがに読むだけだと難しいかもしれないので是非手を動かしながらで。
私は子供の頃から「習う(learn)」ことが苦手で,義務教育のいわゆる「読み書き算盤」ってそういうのの塊だったのが本当に嫌だった(学校は楽しかったけどね)。 でも「数学ガール」の子たちは learn と study と practice を上手に混ぜている。 ある意味理想だと思う。 中でも「村木先生」。 この人,学生時代は TRPG でゲームマスターとかやってたんじゃないかってくらい「上手い」。
「数学」は極上のゲームだ。 ルールはシンプルで,その中で Player は自由に振る舞える。 「数学ガール」シリーズは本当に「遊べる」作品だと思う。
ところで,先ほどの $0.999 \dots = 1$ の話だが,もちろん「数列の広場」でも解説があるけど,ここは是非,茉崎ミユキさんによるコミカライズ『数学ガール ゲーデルの不完全性定理』を読んで欲しい。 「数学ガール」シリーズのコミカライズはいくつかあるけど,茉崎ミユキさんのは「理解する」ことの楽しさに溢れている。 お勧めである。
- 数学ガール ゲーデルの不完全性定理 1 (コミックアライブ)
- 茉崎 ミユキ
- KADOKAWA / メディアファクトリー 2012-12-19
- 評価
結城浩さんの同名タイトルのコミカライズ版。「数学ガール」たちが皆可愛くて素敵。