赤くて碧い月食

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4月に続き今年2度目の皆既月食でした。

周囲の話を聞いていると月食の原理をよく知らない人がいるようです。 ので,まずは次の図をご覧ください。

月食のしくみ
皆既月食 2014年10月8日 | 国立天文台(NAOJ)より

月が地球の影に入るのは珍しいことではないですが頻繁に起こることではありません。 ふだんの三日月は地球の影に入ってるのではないのですよ(そういう勘違いをしてた人がいるらしい。しかも理系で)。

皆既月食中

広島市内はよく晴れて肉眼でも楽しく観望することができました。 ちゃんとした機材を持っているわけではないので,ケータイで撮った右の写真が精一杯ですが。 でも,ちょっと涼しいくらいのいい気候で,台風も過ぎ去って(また来週あたり19号が本州に来そうですが)天気もよく,見晴らしのいい場所で,いつもとは違った趣の月を眺めるのはいいものです。

Facebook のグループで知ったのですが,今回は turquoise fringe が結構話題になったようです。 (「ブルーベルト」や「ブルーバンド」とかいう言い回しもあるみたいですが,英語圏ではそういう表現はないみたい? Google で turquoise fringe eclipse で検索するといっぱい画像が出てきます)

turquoise fringe は地球大気のオゾン層の影響で現れるようです。

The source of the turquoise is ozone. Eclipse researcher Dr. Richard Keen of the University of Colorado explains: "During a lunar eclipse, most of the light illuminating the moon passes through the stratosphere where it is reddened by scattering. However, light passing through the upper stratosphere penetrates the ozone layer, which absorbs red light and actually makes the passing light ray bluer." This can be seen, he says, as a soft blue fringe around the red core of Earth's shadow.
via Total Lunar Eclipse - NASA Science (Feb. 13, 2008)
本影の境はちょうど大気圏。でもって太陽光が成層圏(のオゾン層)を通過するとき、赤色光が吸収され、 青い光だけが直進して月面の縁を照らす現象で、月食の時の月縁がターコイズ色(淡い青空色)に見えることから、 ターコイズフリンジ=直訳でトルコ石色(緑がかった青。もしくはくすんだ緑がかった青で「ターコイズブルー」と呼ぶ)のヘリ(^^; ブルーフリンジでもいいんだけれど、それだとレンズの収差と同じ名前になってややこしくなるので。
ターコイズフリンジ 鹿角平天文台通信/ウェブリブログ(2011)より

この辺が分かりやすいでしょうか。

この辺もいい感じです。

Total Lunar Eclipse
Total Lunar Eclipse by USFWS Mountain-Prairie, licensed under CC-BY

turquoise fringe は肉眼ではほとんど分からないと思います。 写真を撮ってみてはじめて気づく感じでしょうか。 写真を撮られる方は,今後こういったことも注意して観察すると面白いかもしれません。

次の月食は来年,2015年4月4日です。 お楽しみに!

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天文年鑑2015年版
天文年鑑編集委員会
誠文堂新光社 2014-11-10
評価

天文手帳 2015年版: 星座早見盤付天文ポケット年鑑 天文年鑑2014年版 天文ガイド 2013年 12月号 [雑誌] アイソン彗星 観察・撮影 徹底マニュアル (SEIBUNDO Mook) 天文ガイド 2013年 04月号 [雑誌]

天文ファン必携!

reviewed by Spiegel on 2014/10/10 (powered by G-Tools)