ハイパーピクトグラム(Hyper Pictogram)
Creative Commons
のキーワードで見つけたのだが,面白い提案ではある。
そもそも道案内等で使う pictogram って非識字者(「文盲」って差別用語らしい)のための sign であって,それに言語的な説明を加えるのは本末転倒じゃないかという気がするが
- スマホのアイコンと同じで,種類が多すぎてワケワカメな状態になってるのは確か。リンク元で紹介されている国立能楽堂の pictogram なんか日本人でも分からんよ。てか,あれを pictogram と言い張るか
- したがって pictogram に言語的な説明を加えるという本末転倒な事態に既になっている
- しかし空間的に言語的な説明は限界があるし,ましてやあらゆる言語を網羅的に配置するのは不可能
ということらしい。 そこで Hyper Pictogram 構想へ繋がるようだ。
簡単に言うと Hyper Pictogram は,現行で使われている pictogram に対するカタログサイトのようなものを作成し,検索エンジン等を利用して pictogram と連動させようということらしい。 提唱者はこれを2020年の東京オリンピックに便乗した「公共事業」として提案しているようだ(この辺が日本の建築家らしい発想だな)。
オリンピックに東京都がいくら金とコンクリート
を突っ込もうが(それは東京都民の問題なので)知ったことではないが,もし国の公共事業としてやるなら話ば別。 それに日本でこの手のプロジェクトに役人が首を突っ込んでうまくいった試しはない。 なので,どうせやるなら「公共事業」じゃない方法にすべき。 なぜならオリンピックは(夏冬あわせて)世界中で2年おきに必ず行われるものだからだ。 (あぁでも既に進行中ならヤメロとは言わないけどね)
発想自体は面白いと思う。 リンク元では Google Goggles との連動を考えているらしい。 それなら Google と提携して(あるいは Bing も巻き込んで)オープンデータ・プロジェクトとしてやったほうが効率がいい(あるいは OSM と連携するのも面白いかもしれない)。
もしやるなら,それはおそらく
- pictogram 収集フェーズ
- pictogram 翻訳フェーズ
の2つのフェーズで構成されることになるだろう。
収集フェーズはそれほど難しくはないだろう。 オリンピックを当面のターゲットとするのならオリンピックで使われる公式 pictogram のデータを提供してもらえばいいからだ。 それ以外のものについてはプロジェクトの参加者が任意で追加できる仕組みを提供すればいい。 道案内などで使うような pictogram は,その目的からして,著作権フリーかそれに近いライセンスになってる筈なので問題にはならないだろう。 spam に注意する必要があるが。
大変なのは翻訳フェーズ。 日本にいると「英語とあとは隣国の中国語と韓国語くらいでいいだろう」とかなりそうだけど(「中国語」という括りもかなり大雑把だけど),「あらゆる言語を網羅的に」対応するなら,そんなわけにはいかない。 たとえば cc-license の RDF データとかを見ればわかると思うけど(日本語以外に漢字表記が3つある),かなりの数の言語をサポートしなければならない。 これは内輪でやっても到底ムリな話で,オープンかつ Wiki 的に世界規模でやる必要がある(故にオープンデータである必要があるのだ)。
Hyper Pictogram は cc-license を参考にして Human-Readable なレイヤと Machine-Readable なレイヤを持つことを考えているらしい。 Machine-Readable なレイヤを持つ,というのは検索エンジン等で利用しやすいようにしようということだろう。 多言語に対応するということなら RDF だろうか。 たとえば RDF/XML であれば
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?> <rdf:RDF xmlns:rdf='http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#' xmlns:dc='http://purl.org/dc/terms/'> <dc:StillImage rdf:about="http://example.org/pictogram/Noh-Theater/"> <dc:title xml:lang="ja">能楽堂</dc:title> <dc:description xml:lang="ja">能舞台と観客席を設けている建物</dc:description> <dc:title xml:lang="en">Noh Theater</dc:title> <dc:description xml:lang="en">a building which has a stage and audience seats for playing Noh.</dc:description> <dc:hasPart rdf:resource="http://example.org/pictogram/Noh-Theater/image.png"/> <dc:license rdf:resource="http://creativecommons.org/publicdomain/zero/1.0/"/> </dc:StillImage> </rdf:RDF>
みたいな感じかな? 専用の語彙を定義したほうがいいかもだけど。 実際には何らかのデータベース(NoSQL で構わない)を使って情報を整理して,それにしたがって XML なり JSON(P) なり HTML なりで表現することになると思う。
考えるだけなら楽しいんだけどねぇ。