2014年8月19-20日 広島市土砂災害

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まずは被災され今もなお避難生活を送っている方々にはお見舞い申し上げます。 そして亡くなられた方々には本当にお悔やみ申し上げます。

私は安佐南区(広島市郊外)に住んでるが,確かにあの夜はすごい雨だった。 そこら中に雷がガランガラン落ちて家の外に出るなんてとんでもない,状況だったのは確かである。 しかし,それから一夜明けてこのような状況になってるとは思いもしなかった。 私は基本的にテレビを見ないし,朝は眠いのでネットのチェックもしない(1秒でも長く眠っていたい)ため,そのことを知ったのは職場についてからだった。 緑井や八木って(ヘタしたら徒歩圏内という意味での)すぐ近所じゃん。

それから実家や知り合いからバンバン連絡が来て,もう「ご心配かけてごめんなさい」状態だった。 いや謝る必要はないんですけどね。 純然たる天災だし。 (事後の対応には賛否あるみたいですが,とりあえず警察・消防・自衛隊の方々には頭が下がります)

はっきり言ってテレビは見る気がしない。 確認のためにちょっとだけ見たが,番組のショウアップに余念がなくて,どこも「報道」していない感じ。 翌日くらいから現場上空では何機もヘリが旋回してくさるし,ほんまマスコミは死ねばいいのに。

さて,広島でもボランティア活動が始まった。 今のところ(2014年8月24日時点)は県内者のみ受け入れているらしい。 体制が整わないのだ。

前にも書いたけど,「災害躁病」というのがあるらしい。 テレビはセンセーショナルな映像しか伝えないし,それを見て「自分も何かしなくちゃ」と思うのは人として自然な感情の発露であるが,相手や自身の日常生活を破壊してまで行うのは「ボランティア」ではない。 被災した人に日常生活はないとか言う人がいそうだが,どんな状況でも「日常生活が押し寄せてくる」のが現代社会であることをお忘れなく。 今避難生活をしている方々もどうやって日常生活を取り戻すかが課題になっている。 学校が避難所になってるため,今はまだ夏休み中だけど,これからどうなるやら)

それをふまえた上でボランティアに参加しようという奇特な方は以下の映像が参考になるので参考にどうぞ。

8.20広島土砂災害 ボランティアの前に知っておきたい - YouTube by スタジオマサユキ

(8月30日 追記: Facebook に「広島市災害ボランティア本部」のページができている。 リアルタイムの情報はこちらでどうぞ)

ボランティア以外にも寄付による参加も可能だ。 寄付ができる窓口は以下で紹介されている。

個人的には実績のある日本赤十字がお勧めである(寄付は「喜捨」ではなく公共のためのお金の使途を一部、自分で決める行為です。従ってちゃんと税金控除の対象となっている NPO 等を利用すべきです)。

(救援物資受付に関する記事は見当たらないなぁ。復旧作業が長期化の様相を呈してきているので物資による救援はかなり重要だと思うんだけど)

そういえば

っていうのがあって,ホンマにそのとおりだと思った。 今回の土砂災害について広島市や広島県やましてや国の「責任」を問うのは筋違いというものである。 イレギュラーに事前に対処するのは不可能,というか事前に対処できないから「イレギュラー」なのである。 広島市が(オリンピックが開催できる)東京都くらいお金持ちなら市内県内のハザードを「治水」して回ることもできるかもしれないが,残念ながら広島市は球場の移転(地元に球団があるのに)やサッカースタジアムの建設(地元にクラブがあるのに)すらままならない貧乏都市だ。 誰も悪くないのに「責任」を押し付ける行為は古来より「人身御供」という。 先進国と言われてる国がいまだに生贄の儀式をやってるなんて世界から笑われますよ。

事前に対処できない「イレギュラー」に対しては事後の対応が大切である。 セキュリティの世界ではこれを incident response と呼んでいる。 非常に重要な考え方だ。 これができるのは「組織」でも「システム」でもなく,既存のルールを乗り越えられる「人間」だけである(だからセキュリティにおいて「人間」は最弱点であると同時に最強点でもある)。

今回の土砂災害の「事後」について,市や県の対応は正直あまり評価できない。 ボランティアの方々をうまくコントロール出来てるようには見えないし,避難している人への配慮も足りない。 避難している人たちが欲しいのは「心のケア」ではなく「衣食」と「場所」である(「衣食足りて礼節を知る」というでしょ)。 被災した人に公営住宅を無償で提供するそうだが,(避難住民は千人以上いるのに)160戸足らずしか確保できないとか,半年程度しか提供してくれないとか,色々ダメすぎる(復旧には1年以上かかるという見積もある)。 「心のケア」が必要だというのなら,行政自ら不安を煽るようなことをするんじゃねーよ。

市や県においては,できれば外部の経験者や専門家を呼んで,自分たちの work flow を見なおすことで「人間」としての判断力を最大化するような改善をしていただきたい。 このままでは「泥縄式」に堕してしまう(土砂災害だけに。いや「泥縄」の泥は泥棒の泥だっけ)。

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環境リスク学
中西準子
日本評論社 2013-08-01
評価

食のリスク学 「ゼロリスク社会」の罠~「怖い」が判断を狂わせる~ 背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか? 第一次世界大戦 (ちくま新書) 有害化学物質の話 (PHPサイエンス・ワールド新書)

by G-Tools , 2014/08/24