Facebook で「本音が書けない」とかバカじゃないの?

no extension

(もちろんタイトルは釣りです)

「若者の間では友人などとの交流のために使われることが多く、FacebookをはじめとしたSNSにはプライベートな空間というイメージがあるが、就活に影響してくるとなると、本音を言えない場所になっていくのではないかと懸念されている。」
(「「本音書けないSNSなんて…」 就活生のFacebook「のぞき見」に疑問の声」より)

Facebook をはじめとしたソーシャル・サービスは一種の社交空間であり,断じて「プライベートな空間」ではない。 それはせいぜい2005年くらいまでの SNS のイメージだ。 というかそもそもネットにプライベートな空間などないと思ったほうが正しい。 (ちなみに匿名空間はプライベート空間とは違う。念のため)

例えば Facebook が(建前上の)実名制をとっているのは,それが Facebook という社交空間に必要な「ドレスコード」だからだ。 当然ユーザはその「ドレスコード」に見合う行動を要求される。 そしてユーザの行動を見に来るのは「友達」だけではない。 もちろん自身のプライバシーも慎重にコントロールしなければならない(Facebook とプライバシーの問題は色々あるが,とりあえず脇に置いておく)。 それは実際の世の中の構造と同じなのだ。

「就活生」ならもう子供ではないだろう。 そのくらいのことは自分でコントロールできるようになれ。 それが「社会」人になるってことだ。 まぁ幸い SNS は失敗しても「降りる(drop)」ことができる。 学生さんは今のうちに SNS でいっぱい(学校科目の「社会科」ではない)「社会」の練習をすればいいだろう。 つか,練習しろ。 (本当に社会人になってから SNS で失敗すると悲惨だぞ。ここにある話みたいに)

(もっと言うと,ソーシャル・サービスを利用する個人ユーザは常に「降りる」ときのことを考えて行動指針(ポリシー)を立てたほうがいい。 「降りる」ことのできないゲームは辛いだけだ。 これについてはまだ考え中なので,そのうちまとまったら記事にしたい)

そういえば Bruce Schneier 氏の blog で紹介されていたが,向こうの10代の子供たちはしっかりしていて,ネット上でのプライバシーに関しては “unknown stranger” より “known other”(両親,学校教師,同級生など)に対してより慎重なんだそうだ。

“Rather than fearing the unknown stranger, young adults are more wary of the "known other" -- parents, school teachers, classmates, etc. -- for fear of "the potential for the known others to share embarrassing information about them"; 83 percent of the sample group cited at least one known other they wanted to maintain their privacy from; 71 percent cited at least one known adult. Strikingly, seven out of the 10 participants who reported an incident when their privacy was breached said it was "perpetrated by known others."”
(via “Online Privacy: Kids Know More Than You Think”)

「SNS で本音が書けない」などとヌルいことを言ってる(多分20代前半の)日本の就活生よりアメリカの10代の子等のほうがよっぽどしっかりしてるってことだよね。