LaTeX2e に関する覚え書き
色々思い出しながら書いている。 どうせまた忘れるので,覚えてる内にメモとして残しておく。
LaTeX2e には基本的に3つのドキュメントクラスがある。 article, report, book の3つだ。 ただし pLaTeX2e 新ドキュメントクラスには jsarticle と jsbook しかない。 report に相当するものはないのだ。 ただし jsbook に “report” のオプションを付けることで report クラス相当の出力にできる。 たとえば report スタイル,10ポイントフォントサイズ,A4紙サイズにしたければ,ドキュメントクラスを以下のように指定する。
\documentclass[report,10pt,a4paper]{jsbook}
物書きの方でもない限り book クラス相当を使うことはめったにないと思うけど, ドキュメントの構成を章(chapter)・節(section)の構成にしたいことはよくあると思うので, そういうときにはこの report オプションは便利だろう。
ついでに,章・節の構成の場合,序文や後書きには章番号を付けたくないものだ。
そういうときは \frontmatter
や \backmatter
を使うと便利だ。
たとえば,こんな感じの構成になるだろう。
\documentclass[report,10pt,a4paper]{jsbook} \usepackage{makeidx} \makeindex \title{\LaTeX2e に関する覚え書き} \author{Spiegel} \date{2011年 10月1日}\begin{document}
\frontmatter % 序文の開始
\maketitle \tableofcontents \include{intro} % はじめに
\mainmatter % 本文の開始
\include{chap1} % 第1章 \include{chap2} % 第2章 \include{chap3} % 第3章
\appendix % 付録
\include{appeA} % 付録A \include{appeB} % 付録B
\backmatter % 後書きの開始
\include{postscript} % あとがき \printindex
\end{document}
さて,出力結果を PDF に変換する際(ここでは dvipdfmx を使うことを想定している), Windows の標準環境でインストールした状態では日本語フォントは埋め込まれない。
パソコンで読む際は PDF リーダーが適切なフォントを選択して表示してくれるので特に問題ないし,ファイルサイズも節約できるのでいいのだが, iPad のような携帯端末では意図通りに表示してくれないようだ(アプリによるのかも知れないが,全部ゴシック体で表示するのは辛いんだってば)。
dvipdfmx 用のマップファイルは $TEXMF/fonts/map/dvipdfm/base/cid-x.map
なのだが,これを直接編集するのは美しくない気がするので,埋め込み用の指定ファイルを作って dvipdfmx 起動時に明示的に指定するのがよいだろう。
たとえば,フリー(OSD 準拠)の IPA フォントを使う場合には, ipa.map (名前は適当)というファイルを作って以下の記述をする。
rml H ipam.ttf rmlv V ipam.ttf gbm H ipag.ttf gbmv V ipag.ttf
(IPAex フォントを使う場合には ipam → ipaexm , ipag → ipaexg と置き換える)
dvipdfmx 起動時には以下のような感じで -f
オプションでファイルを指定する。
> dvipdfmx -f ipa.map -z9 -o document.pdf document.dvi
ちなみに -z9
は圧縮オプション。
9指定で最大限圧縮してくれる。
余談だが, Windows 標準のMS明朝やMSゴシックは昔は商用利用できない(別途契約が必要)と言われてたが,今では Windows 環境で作成する限りフリー(無料)で利用できるようだ。 めでたい! MS明朝やMSゴシックを埋め込む場合には以下の内容のファイルを作成して dvipdfmx 起動時に指定する。
rml H :0:msmincho.ttc rmlv V :0:msmincho.ttc gbm H :0:msgothic.ttc gbmv V :0:msgothic.ttc
まぁでも,いまさらMS明朝やMSゴシックを使う人はいないかな。
参考: