原発問題関連リンク

no extension

山口県の上関原発の建設を「一時凍結」するよう県議会に意見書を提出・決議するらしい。 各会派の思惑が交差して「一時凍結」という事になったらしいが,状況から考えて凍結を解除するタイミングがなさそうに見える。 仮に米国みたいにン十年後に再開しようとしても,原発のベネフィットが今と同じように評価されるかどうかは怪しいものである。 原発の建設・稼働については自治体によって態度がまちまちのようだが,上関のケースは他の地方へも影響するかもしれない。

前回は私自身の意見を中心に述べたので,今回は原発問題に関する記事をいくつか紹介する。 つっても SciencePortal の記事だけど。

現時点で原発問題について一番冷静に報じているのは SciencePortal だと思う。 ただし記事が1日程度遅れる傾向にあるので速報性には欠けるけど。 震災直後と違って,今は速報性はそれほど重視されないと思うので,記事を見てじっくり考えていけばいいと思う。 例えば「提言には判断できるデータも」では,日本学術会議東日本大震災対策委員会「エネルギー政策の選択肢分科会」の提言として以下の6つの選択肢を挙げている。

  1. 速やかに原子力発電を停止し、当面は火力で代替しつつ、順次再生可能エネルギーによる発電に移行する。
  2. 5年程度かけて、電力の30%を再生可能エネルギーおよび省エネルギーで賄い、原子力発電を代替する。この間、原子力発電のより高い安全性を追求する。
  3. 20年程度かけて、電力の30%を再生可能エネルギーで賄い、原子力発電を代替する。この間、原子力発電のより高い安全性を追求する。
  4. 今後30年の間に寿命に達した原子炉より順次停止する。その間に電力の30%を再生可能エネルギーで賄い、原子力による電力を代替する。この間、原子力発電のより高い安全性を追求する。
  5. より高い安全性を追求しつつ、寿命に達した原子炉は設備更新し、現状の原子力による発電の規模を維持し、同時に再生可能エネルギーの導入拡大を図る。
  6. より高い安全性を追求しつつ、原子力発電を将来における中心的な低炭素エネルギーに位置付ける。

変数部分の細かい調整はあるにせよ,巷の意見も大体この6つのうちのどれかに当てはまるだろう(電気がなくても我慢すればいいなんてのは論外)。 でも多くの人はこれらの選択肢のうちどれが妥当であるか評価するためのデータを持っていない。 「科学新聞」なんて学者以外で読む人なんていないだろう。 だから,政府や専門家・専門機関はどんどんデータを公表していくべきだ。 データを公表していけば根拠のない主張は除外できるし,幾つかある選択肢について(直感などではなく)合理的に評価ができる。 直感などカルトにやらせておけばよい。 今はネットの時代だし,それこそ Wikinomics 的な展開だってあり得るのだ。

というわけで,今後も興味深い記事については随時紹介していく。 ブックマークでは今後 spiegel/nuclear でフォローしていく予定。 また Twitter では @spiegel_bookmrk でブックマークを垂れ流してるので(各ジャンルごちゃ混ぜでゴメン)興味のある方はそちらでもどうぞ。

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ドン・タプスコット/アンソニー・D・ウィリアムズ 井口 耕二
日経BP社 2007-06-07
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by G-Tools , 2011/07/06