祝パブリックドメイン『解析概論』
今年もたくさんの著者の作品がパブリックドメイン入りした。 中でも理系の人なら(数学が専門でなくても)名前くらいは聞いたことがあるであろう高木貞治さんの著作もパブリックドメイン入りしている。 で,早速青空文庫でいくつか著作が公開されている。
とはいえ,さすがに青空文庫で数学書を入力するのは難しい。 というわけで Wikisource による入力が始まっている。
もともと『解析概論』の入力が最初にあったのだが,最近では他の著書も対象になってるみたい。 ただ,どの版を底本にするかは注意が必要かもしれない。 詳しくは奥村晴彦さんのブログ記事のコメント欄を見て欲しい。
(ところで素朴な疑問なんだけど, Wikisource のテキストは CC-license の by-sa の取り扱いになってるけど,パブリックドメインの文書をそゆ扱いにしても問題ないの。 いや,あまりツッコまないほうがいいのかな)
ところで,今年から岩波書店が新書や自然科学書の案内を行うメールマガジンを開始している。 1/10 に発行された最初のメールに『定本 解析概論』が紹介されていて「さすが岩波,抜け目ないな」と感心し,つい Amazon で買ってしまった。 他にも高瀬正仁さんによる高木貞治さんの評伝も新書で出ているらしい。 いやぁ,ホンマ岩波,抜け目ないわ(笑)
ちなみに『定本 解析概論』は
「本書は,『解析概論』改訂第三版をもとに,組版ソフト LaTeX を用いて新たに組み直したものである. 組版にあたっては,一部の漢字仮名遣いを改めた以外,本文は原則変更していない. また,定本に際して,黒田成俊氏に,「高木函数」の解説をお願いし,補遺として巻末に付した.」
ものだそうだ。 だから定本(の補遺以外の部分)を底本として使ってもいいんじゃないかな,とか勝手に思ったりする。
実は肝心の整数論については全く門外漢で,高木貞治さんの著作も読んだことがなかった。 ちなみに学生時代の微積の授業では『理工科系一般教育 微分・積分教科書』を使っていた。 だから『解析概論』なら昔を思い出しながら読めるかなぁ,と思ったのさ。
(学生時代の教科書って何だったかなぁ,と思って本棚を漁ってたら『理工科系一般教育 微分・積分教科書』が見つかって「ああ,これこれ」と思って何気なく Amazon で検索したらまだあるんでビックリしたよ。 表紙の色が変わってたけど。 今も広大生はこの本を教科書にしてるのかなぁ,とか妄想したり)
ちうわけで,『数学ガール』とか読んで数学にちょっぴり興味が出てきた方には高木貞治さんに挑戦するというのも一興かもしれない。 本屋で買えなくても図書館ならあるかもね。