Android vs iPhone という構図は成り立たない?

no extension

あらかじめ言っておくと,今のところ個人的には iPhone に興味がない(もちろん仕事としては大歓迎)。 理由は単純で,私はソフトバンクが嫌いだからだ。 (docomo からは出なさそうなので)もし,万が一,まかり間違って, au から iPhone が出るようなことがあれば考えるかもしれない。

以降は例によって印象論なので,あまり真に受けないように。 つっても,上のふたつも印象論にしか見えないんだけどね。

現時点で iPhone (つか, Android と比較するなら iOS と言うべきかな)が優位なのは誰の目にも明らかだろう。 iPhone の機能デザインは優れているし,なにより「先行者優位」が効いている。 でもそれは現時点での話であって将来的にはわからない。

「Windowsが普及した一番の理由は、Macよりも安かったから。 PCメーカー間の競争のおかげで、Windows税を払ってもPCはMacよりずっと安く提供できた」

っていうのは少し違う。 Windows が爆発的に売れ出したのは 95 以降だと思うけど(海外は WfW 以降かも), このときのユーザは Mac と比較して Windows を選択したのではなく「そこに Windows があったから」買ったという人がほとんどだと思う。 そもそもハードウェアにおいては既に AT 互換機が(日本を除いて)世界を席巻していたし,その時点で Mac の出る幕などなかったのである。 つまり当時は「AT 互換機に何を乗せるか」という選択肢しかなく,それはすなわち Microsoft のどの製品を選択するかということだったわけだ。(1990年代当時は Linux などまだオモチャだったことをお忘れなく)

今の Apple は,1990年代後半の Microsoft によく似ている。 iPod / iPhone / iPad といったハードウェアには Apple 製の OS しか乗らない。 セキュリティのインシデント・レスポンスもかつての Microsoft にそっくりだ(悪い意味で)。

一方の Android は過去に比較するものがない。

まず Android 自体には明確なターゲットがない。 ハードウェアに Android をどう実装するかはそのハードウェア・メーカの裁量にかかっている。 たとえば同じシャープ製の Android ケータイでも GALAPAGOS と IS03 では見た目から設計コンセプトまで何もかも違う。 こんな chaotic な OS はあまり例がないと思う(OS よりももっとプリミティブなレイヤから実装するならいくらでも例はあるけど)。 この Android の多様性の前では iOS も “one of them” でしかない。 あとは何といっても Android がオープンソースなプロジェクトであるということだ。 組み込みシステムに RT-Linux や TRON を組み込むといった例は以前からあるが,それらと比較しても Android はまた別種の盛り上がりを見せている。

こういった特徴を持つがゆえに Android の将来は予測しがたいものがある。 Android があまりに fork しすぎることや Store の乱立などを懸念する人もいる。 でも私は,この変化の時代にあって, Android の持つ多様性(単なる「機能の多さ」ではない)こそが将来にわたって生き残る鍵だと思っている。 たとえそれが進化の果てに Android でないものに変わってしまっていたとしても。

他にも「時代遅れ」感たっぷりな iTunes の存在とか(今話題の AppleTV にすら iTunes がシステム要件になってるってのはどうなんだろう)色々あるけど, いずれにしてもこれは新しい事態であって,過去の例と比較するのはあまりうまいやり方ではないと思う。 私はエンジニアなので,エンジニアが息のしやすい環境になってくれることをせつに願うけど。 (特許の問題とかもね)