Hatena Star/Message は「繋がりの社会性」をコード化する?
Tumblr で書いた記事をこっちで整理しようと思ったのだが, 急速に興味を失いつつある(笑)ので, 完全に興味が失せる前にまとめれるだけまとめておこう。 あっ, 向こうの記事にブックマークした人はこっちはチェックしなくていいですから。
まず, 私は道具の意味を考えることには興味がないのだが, 以下の記事は面白かったのであげておく。
- はてなスターは民主主義の敵か
- ネットイナゴ対策としてのはてなスター (上の記事と併せて読むとよい)
- はてなスターとはてなメッセージはEメールを駆逐する
- はてなスターは信頼のプラットフォーム
電子メールについては既に他のメッセージングツールやコミュニケーションツールに比べて信頼感が低下している。 Hatena Star および Hatena Message 登場以前にもう引き金は引かれているのだ。 SMS やケータイメールといったものを除けば電子メールを使う機会は徐々に減っていくような気がする。
まちゅさんの
「ただ、はてなスターによる信頼の輪は、マイミクよりもずっと緩い繋がり。 お互いにスターを付け合っても、一ヶ月間交流が無ければフレンドじゃなくなっちゃう。 Mixi よりも気軽で鮮度の高い関係になりそう。」
というのは疑問がある。 何故なら Hatena Star/Message の仕組みは「繋がりの社会性」をもろに実装したものだからだ。 流動性の高い相手との接続状態を維持したければ頻繁に(少なくとも月1回以上のペースで) Keep Alive を送りつづけなければならない。 これは mixi の友達ダイアグラムなんかよりはるかに大きいストレスをユーザに与える(または「繋がっている」という状態に Addict する)可能もある。 Hatena Star/Message に「ご無沙汰しています」とか「やっとかめ(八十日目)」とかいった語彙は存在しない。
考えてみればコンテンツに「星」をつけるギミックというのは昔からある。 Flickr だって Vox だって普通に Favorite 機能がついている。 これら従来の「星」機能と Hatena Star の違いは, Hatena Star ではいくつでも「星」を付けられるが外すことはできないこと。 そしてコミュニケーション機能(Hatena Message)と直結している(つまり「星」はコンテンツにつくのではなくコンテンツの作者につく)ことだろう。 可能性は色々考えられるだろうが, それが実際にどのような「意図せざる結果」をもたらすかはまだ分からない。
技術的な面から見ると 「やっぱり「はてな」は「はてな」の内側しか見てない」 というところだろうか。 これは HatenaStar.js を見れば分かる。 HatenaStar.js は「はてなダイアリー」で使われているものをそのまま外出ししたものだ。 おそらく保守性を考えてのことだろうが「はてなダイアリー」以外のこと(たとえばブログ)をまるで考えてないつくりだ。 詳しくは前の記事を読んでもらうとして, 要するに特定の文書構造を見つけてそこにボタンと星を付記するようになっている。 前提となる文書構造が存在しなければボタンも星も付記されない。 実は Twitter で指摘されて気付いたが, 当の「はてなダイアリー」ユーザであっても HatenaStar.js が前提とする文書構造をとらない場合はボタンも星も表示されない。 HatenaStar.js は道具とユーザと作法を選ぶのである。
HatenaStar.js に書かれている機能のひとつひとつはごくありふれたものだ。 例えば「星」に関する情報は JSONP で取得している。 であるならまず HatenaStar.js に書かれている機能を API として公開するのが筋のいいやり方だ。 そうすれば 「livedoor ReaderにはてなスターをくっつけるGreasemonkeyスクリプト」 でやってるような回りくどいこともせずに済む。 API を基に便利なブログパーツを公開する人だって出てくるはずである。
もうひとつ不満なのは, 何で「はてな認証 API」を使わないのかってこと。 hatena.ne.jp と hatena.com との間でアカウント情報自体は共有されるのかもしれないけどセッション情報等は共有されない。 だから前回書いたようなおかしな事が起きる。 ここはセッション情報を使うのではなく「はてな認証 API」が発行する認証トークンを使うべきだろう。 というわけで, 嫌がらせとして, ここの Hatena Star ボタンは hatena.com にログインした状態じゃないと押せないようにしてみた。
まっこんなところかな。 この件はこれで忘れて次いってみよう!