YouTube の周辺

no extension

(今から書くことは私がそう思っているだけで論理的でも普遍的でもないのであしからず。 っていうか私の記事はたいがいそうなんだけど)

最近 YouTube の周辺が面白い。 昨年「YouTubeってどうよ?」で言われていた

「YouTubeというサービス単体では成立しないと思います。彼らがやっているサービスは、「オンラインでの汎用テレビ放送局」です」

という話があっという間に「ニコニコ動画」や「Rimo」などという形で実装されるとは思わなかった。 (個人的には「ニコニコ動画」はあんまり好みじゃないけど。 あれって一種の射精行為だよな。 エロはひととおり見たら飽きる。 まぁそれを言ったら「はてブ」コメントだって射精行為なんだけどさ。 そういえば昔誰かが「blogrolling に対抗して「ボンベイローリング」」なんて言ってたような)

どういう形であれ, このギャンブルの胴元は(今のところ) YouTube だ。 胴元が自分の仕切る賭場で自身が損をするような事をする筈がない(といっても YouTube のビジネスモデルがいまだによく分からんのんだけど)。 そういう意味じゃ「ニコニコ動画」が(建前はどうあれ) YouTube を見限って自分が胴元になるのは(当面は)正解かもしれない。

確かに技術面で見た場合, 「ニコニコ動画」に革新的なところはひとつもない。 っていうか, 昨今のインターネット/Web サービスで技術的に「革新」と言えるものは殆どないだろう。 でも重要なのはそれが革新的な技術かどうかではない。

(話が脱線するが)「白熱電球」を発明したと言われるエジソンだが, 実は白熱電球に関する要素技術は当時既に知られていたそうである。 例えばある種の導線に電気を通すと「白熱」することや, その導線を真空中に入れておけば「燃えない」こと。 そしてその導線として「炭素」を使った炭素線ランプが既に公表されていたこと。 また白熱電球に電気を供給するシステムは, 当時既に普及していたガス灯にガスを供給する「集中供給」システムの模倣から始まっていること, などなど。 じゃあエジソンは結局何をしたかといえば, 個々の要素技術を繋ぎ合わせてひとつのシステムに纏め上げたこと, そしてそのシステムを普及させるために強力なプロモーションを行ったことだ。 (詳しくは『闇をひらく光』を参照)

「技術」というのはそれ自体では何も生み出さない。 それが人(特定の人をさすわけではない。念のため)に帰属するときにはじめて「何か」が動き出す。 今はようやく「何か」が動き始めた時代だと思う。 どこに向かってどう動き出すのかは多分誰も分かっていない。 でも多分それは, その時々の人(繰り返すが特定の人をさすわけではない)の「思い」の写像になっている。

日本で「ブログ」が流行しはじめた頃, そこら中にボコボコとサービスが立ち上げられ, その度にサービス間を漂流するユーザの滑稽な様が見られた。 YouTube を見て「動画配信はおいしい」と思った人たちが(あの時のように)これからボコボコと現れるに違いない。 ならばここは一歩下がってギャラリーに徹したほうが面白いかもしれない。