将来の暗号技術に関する安全性要件調査
(この記事は「もっと辺境から戯れ言」に投稿した記事からの転載です)
IPA/ISEC で公開されているレポートですが, 非常に興味深い内容になっています。 暗号に興味がある人, 暗号を含むセキュリティ関連システムを設計する人は一読をお薦めします。
内容的には過去の事例を元に将来(2040年まで)の「暗号強度」を予測しようというもので, レポートでは共通鍵(対称)暗号アルゴリズム(特にブロック暗号)を中心に書かれています。 (公開鍵暗号についても若干言及があります)
個人的に面白いと思ったは量子コンピュータによる共通鍵暗号解読の可能性も検討されている点。 素因数分解を行う量子計算アルゴリズムは既に考えられていて, もし量子コンピュータが実用化されれば RSA などの公開鍵暗号アルゴリズムにとって脅威になることが知られていますが, 共通鍵暗号(ブロック暗号)アルゴリズムに関してはまだよく分かっていないようです。 もっとも量子コンピュータが実用化されるまでにはまだまだ長い道のりがあります(数十年という説もあります)ので, 今すぐ脅威になるというわけではないのですが。
他にもスパコンや MPU/ASIC についての性能評価もあったり, コンピュータ稼働時の電気料金についての検討もあったりして本当に面白いです。