Creative Commons Lisence 3.0 日本版ドラフト

no extension

1/26 の CCJP シンポジウムにあわせてかどうか知らないが, CC-lisence 3.0 の日本版ドラフトが公開された。

これについて記事を書こうかと思ったが, 補足資料で網羅されているので, ここでは自分用の覚え書きとして書いておく。 CC-lisence 3.0 日本版について知りたければ, この記事ではなく, 上述のリンク先の資料を見ることをお薦めする。 また, そもそもクリエイティブ・コモンズってなんじゃら? という人は, 書籍 『クリエイティブ・コモンズ』 を真っ先に読んで当時の議論を頭に入れておいて欲しい。 (Amazon ではまだ買えるみたい)

ついでに現行の 2.1 のライセンスも挙げておく。

全体的に表現とか言葉遣いがちょっとずつ変わってて, 直訳っぽい表現が残ってた頃に比べてより利用許諾書っぽい感じ? かな(笑) Unported 版とナンバリングが違うのが気になるんだけど, ええんじゃろうか。 それとも最終的には Unported 版に合わせるとか?

そうそう, 3.0 における大きな変化のひとつとして Unported 版の存在がある。 Unported 版はどこの国にも準拠していない, 言わば国際版のフォーマットである。 各国版はこの Unported 版を各国の法律に準拠するよう「翻訳」している。

さて, 真っ先に目がつくのは著作者人格権の取り扱いについて。 2.1 では第1条の「定義」で書かれていたが, 3.0 ではほぼ同じ内容が第3条の「利用の許諾」および第5条の「利用に関する制限」に移り、 分かりやすくなっている。 曰く

「許諾者は本作品又はその二次的著作物に関して、 原著作者及び実演家の名誉又は声望を害する方法で原著作物を改変、 変型又は翻案した場合を除き、 自己が有する著作者人格権を行使せず、 その原著作者が有する著作者人格権を行使させない。」 (第3条)
「書面による合意又は法律上認められている場合を除き、 本作品、 本作品を組み込んだ編集著作物等、 又は本作品の二次的著作物を利用するときは、 原著作者又は実演家の名誉、 声望を害する変更、 切除その他の改変を行ってはならない。」 (第5条)

である。 もともと第3条には基本的に著作者人格権を行使しないことが書かれていたが, 「原著作者及び実演家の名誉又は声望を害する方法で原著作物を改変、変型又は翻案した場合を除き」 の部分が追記された格好になる。

(そこはかとない疑問だが, 第5条では作品の利用のみならず作品の派生物の利用にも著作者人格権の行使が及ぶように読めてしまうのだが, そういう解釈でいいのだろうか。 それって現行のライセンスより著作者人格権について踏み込んだ記述のように見えるんだけど。 あと実演家人格権についてはどうなるの? とか)

さらに 3.0 では, 派生作品(二次的著作物)を作成した場合は, その旨を明示するよう義務付ける文が加えられた (第3条)。 もうひとつ, 利用許諾料の取り扱いが追加されている(非営利の場合は第5条で, それ以外では第3条で)。

「表示-継承」ライセンスの第1条 ⑦ では「クリエイティブ・コモンズと相互互換性のある利用許諾書」について定義され, さらに第5条 ② では派生作品に適用できるライセンスとして「クリエイティブ・コモンズと相互互換性のある利用許諾書」が使える旨書かれている。 これは CC-lisence 以外のオープン・ライセンスとの互換性を図るためのものらしい。 「クリエイティブ・コモンズと相互互換性のある利用許諾書」は以下を満たすものとある。

  1. 本利用許諾書のライセンス要素と同様の目的・意義・効果を含んでいること。
  2. その利用許諾書の下で提供された作品の二次的著作物を、 本利用許諾書又は本利用許諾書と異なる管轄地の法律に準拠したクリエイティブ・コモンズ・パブリック・ライセンス、 若しくはいずれの国の法律にもいまだ準拠していない( Unported) クリエイティブ・コモンズ・パブリック・ライセンス ( いずれも同じライセンス要素を含む。) の下で再利用許諾できることが、その利用許諾書の中で明示的に許諾されていること。

具体的には Compatible Licenses に挙げられている, とあるが, 実際にはひとつも挙がってないようだ。

ん~, とりあえずこんなもんかな。 あぁ, シンポジウム行きたかった。

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クリエイティブ・コモンズ―デジタル時代の知的財産権
クリエイティブコモンズジャパン Lawrence Lessig
NTT出版 2005-03
評価

コモンズ Free Culture 表現の自由vs知的財産権―著作権が自由を殺す? CODE VERSION 2.0 アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか

by G-Tools , 2009/01/28

(追記 4/4)

CCJP のブログで過去に紹介されている CC-license 3.0 の議論(2006年当時)を以下に挙げておく。 以前日記でも書いたんだけど URL が変わってるみたいで...